社会と吹奏楽<レパートリーを探す>

バンドパワーさんの『富樫哲佳の吹奏楽曲でたどる世界史』

www.bandpower.net

は大変素晴らしい特集で、1つ1つの事件に対して深い見識でフォローし、作曲背景を含めた解説で曲のよさを引き出しているので、もっと書いてほしいと思っている。

ただ、選ばれたからその曲を練習するのではなく、奏者にもどんな曲なのかを深く理解してほしいと思うからだ。
下記、非常に賛同するコメントだ。

 

いま、吹奏楽はたいへんなブームですが、若い方々(特に中高生)の演奏を見たり聴いたりしていると、「果たして曲の背景を理解して演奏しているのかな」と感じることが時々あるからです。

 もちろん、指導者がキチンと解説したり、あるいは演奏者自身が調べて理解している場合もあるでしょうが、中には、「単なるオタマジャクシの羅列」としてしか曲をとらえておらず、いかに技術的に高度な表現をするか…のみに腐心しているケースもあるようです。

 いい演奏をし、特にコンクールで上位に食い込むためには、それも当然大切です。しかし、もしその曲が、ある「ドラマ」を描いている場合、やはり、それを十分理解した上でチャレンジした方が、演奏も違ってくると思うのです。

 技術的に高度な表現を前提としつつも、曲背景の理解も大事だよね、と読める。

【もっとたくさんある】


吹奏楽というジャンルの音楽で、国際問題や、社会問題に対するレスポンスする作曲家は少なくない。ただ、音楽の中身が伴っているかはわからない。
もし、こういったことを吹奏楽のプログラムとして考えてみたい方がいたらと思い、調べていたリストを公開することにしてみる。(順次追記していくつもりです)
「こんなのもあるのでは?」という方はぜひコメントください。

 

テーマがすごくても、音楽がそうでない場合も、
スコアが素晴らしくても、音楽として興味をそそられない場合もありますから、
用法用量お守りくださいね。

  • 銃乱射事件

言葉もなく…/ジェームス・スティーヴンソン
アメリカンエレジー/ティケリ
And can it be?/ギリングハム
My Soul to Keep/ジルー

  • テロ事件

ブリュッセル・レクイエム/アッペルモント
水面に映るグラデーションの空/芳賀傑
Of Our New Day Begun /Omar Thomas
NO WAR /Marco SOMADOSSI

  • 9.11テロ

交響曲4番『消えたタワーの影の中で』/フェイルーズ
N.Y.2001/09/11 /清水大輔
間奏曲 11/09/01 /建部知弘
9-11 /Benjamin Boone
A Hymn for the Lost and the Living /Eric Ewazen
Testament /maslanka

  • 戦争

オペラ「ある水筒の物語」によるパラフレーズ /伊藤康英
モーニング・アレルヤ~冬至のための /ロン・ネルソン
let this place /Peter MEECHAN(アウシュヴィッツ
「戦死・不明の英雄たちよ」ベトナム・メモリアル /ギリングハム
Dona Nobis Pacem(Grant us Peace) /エレビー(WW2終結50周年記念)
エクスピエイション(贖罪)/天野正道コソボ内乱)
In Wartime /David Del Tredici(イラク侵攻の只中に書かれた)
Requiem for a Future War/Hardy Mertens(未来の戦争を予見している哲学者の言葉にInspireされた作品)
Of War and Peace /ドアティ(終わらない戦争の悲劇と平和への希望に対する作曲者の音楽としての応答)

  • 3.11

吹奏楽のための「海の詩・風の詩」~東日本大震災の追悼・復興を祈って~/松下倫士
Epitaphe 2011. 3.11/天野正道

プラハ1968年のための音楽/フーサ

I still have a dream /長生淳
ローザ・パークス・ブルーバード 3本のトロンボーン吹奏楽のための/ドアティ
ローザのための楽章/キャンプハウス
一つの声に導かれる時/ホゼイ(キング牧師の演説を引用して表現)
新たなる時代への黎明より“自由への夜明け”/シュワントナー
3つのワシントンの彫像/スパーク(2楽章はキング牧師の彫像にインスパイア)

おほなゐ~1995.1.17.阪神淡路大震災へのオマージュ/天野正道
希望の彼方に/スパーク
Renaissance(ルネッサンス-復興-)~大震災への鎮魂歌、そして復興への讃歌/真島俊夫

  • 核汚染

ラッキードラゴン ~第五福竜丸の記憶~/福島弘
and all on the earth had gone / そして全ては失われた/戸田顕
NUCLEAR WARRIOR/Federico Agnello
交響詩「メルトダウン」/marco putz

  • 悲しみ

La cathédrale résiliente/CAMPHOUSE Mark(ノートルダム大聖堂への追悼)

  • 環境問題

この地球を神と崇める/カレル・フサ
われらをめぐる海 ~レイチェル・カーソンに捧ぐ~/阿部勇一(沈黙の春
交響組曲「ガイア」 2楽章/天野正道

また増やしていこうと思う。