chatGPTさんと過ごす週末

暇だが、節制気分である。現実的な問題として、だ。
さて、そんな日はchatGPTさんと過ごす。

さて、このAIは、今の所、日本語にあまり強くない。なにせ「日本で有名な吹奏楽作曲者は?」と聞くと「谷村新司」と答える。何度違うよと言っても「服部克久谷村新司大江千里」と答える。曲のタイトルもチグハグ。バーンスタイン交響曲のタイトルが巨人だったこともあったな。
とんだ勘違いボーイである。
chatGPTさんは、自分で考えているふしがある。例えば「what is SUISOUGAKU」と英語できいた場合、「水槽楽、それは水族館の音楽です」と答える。もはや美しい。

吹奏楽コンクールで人気の曲は?と聞くと

人気のある曲目としては、細野晴臣の「大空と大地の中で」、音楽畑の「ラストバタリオン」、三枝成彰の「聖戦士ダンバイン」などがあります。

と教えられた。全部、違う。
あと、石井眞木がすごく好きで、とにかく困ると石井眞木が出てくる。
真島俊夫が作曲した曲は?と聞いて「横浜赤レンガ倉庫」と答えられたこともある。

一方で、政治的なトピックスについては、非常にリベラルな回答が返ってくる。

このAIは大量のテキストデータから学んでいるらしい。
インターネット上にある情報を大量に摂取し、自分自身を訓練して改善していくしくみらしい。今まで私達がSEO対策と称して、キーワードだらけにしてきた真偽の程が定かではない場合もあるWEBページや、購買のため、人をある一定の方向に(消費行動的に)仕向けるためのテキストデータから、彼らは学んでいる。おそらくWEB上のテキスト量が増えるのは2000年以降。2000年以降の言説が根拠になっている。
人間側の記述にも時代ごとのなんらかの流れを含むわけで、その意見が歴史的な正当性あるものではない可能性がある。
うんこのついたティッシュで、もう一度自分のお尻を拭いているような感覚がある。

若い学習者が、AIに質問を投げかけ、それを疑わず、吹奏楽で有名な作曲家として谷村新司を吹聴するようになったらどうしよう笑
もちろん、AIはかすめている。吹奏楽でも演奏されるサライの作詞者は谷村新司だから。どこかの文脈がまだ未成熟なのだろう。

そして、インターネット上に有史以後のテキスト化できる情報がすべてあるわけではない。膨大な書物についてもそう。そしてそれを参照するかどうかもそう。
極端に言えばインターネット以前が失われてしまった閉じた世界の中での知識を、AIは増幅させ、インターネット上にまた自動で情報を生成していく。
はて。と思う。
歴史の屑拾い(藤原 辰史)にあるような、人間が生きて残した歴史の小さな断片は、どこに行ってしまうのだろう?商品化されない、市場に売り込まれない、人間の独自にもった時間や、バグは…。

とちょっとした厭世気分になるのだけれど、大丈夫だと思う。
インターネットに真理を求めたりしなければ。インターネットにある情報だけが、自分の生きる指針などと思わなければ。少しの話し相手として、AIがいるくらいに思っておけば大丈夫。それくらい、本当っぽいことしか今のAIは言えない。(なんの対抗意識?)