どんな曲を選ぶか

どのように曲を選ぶかは、非常に大事な問題だ。
コンクールやコンテストで賞が別れてしまうときなどは、
時たま、「選曲が悪いよね」などと言われたり、「最後は選曲の勝負」と言われたりする。
吹奏楽データベースが、オープンして久しく、よく利用する。
統計的にどのような曲が「勝ちやすい」のか、どのような曲が「埋もれているのか」
今まで知りえなかった全国的な推移をみるのは非常に面白い。
音楽的に力のある曲が、勝ち要素が多いのではないか?という側面と、
勝ちやすい曲に、音楽的な力が宿っているように仕上げる指揮者がすごいのでは?
と2つが透けて見える。
ここ数年、数十年前のコンクール選曲トレンドの曲が再浮上することも増えた。
まさかのダフニスとクロエが今年は、リバイバルしているようだ。
そうか、2000年代初頭に青春を過ごし、競合がラヴェルレスピーギばっかり吹いていたころの
子どもが、今や先生になっているから、かもしれない。
1週回って、やっぱり「勝ち曲」として復活。(なぜローマの祭はずっと減らないのに、ラヴェルは減ったのか?)
疑問を残しつつ。

自分が選曲するたびに考えるのは、まず「吹きたいか」であるけれど。
その時に、「どう聞かれるか?」も同時に考える。
譜面が簡単で、メロディーが美しく、教育的な配慮がある楽譜は極力避ける。
理由は簡単。難しいからだ。
譜読みの終わりを、どの点で満足するかは人によってまったく異なる。
だから、簡単なものを簡単に吹けるところで満足しやすい性分の人は危険だ。
簡単である、親しみやすさの理由は、幾つかの楽曲的なロジックがあるのでは?と考えるからだ。
・様式感に則った(聞いたことのあるような)フレーズがある
例えば、ダンスと題されてしまったら、ダンスの様式に則って書かれているであろうことは
間違いない。つまり、その様式を「聞かれる」。ただ演奏する以上に、ダンス的な処理を徹底することになる。
・音が簡単、吹きやすい
伸ばしている音のクオリティが1番大事になる。つまり美しい音色こそがその曲の持ち味になり「聞かれる」
数人ですら音色を整えることは、難しい。1年生がいれば尚更。
おそらく、コラール的な要素があるため、和声の知識を学ばせるステップとしては有益。
音程地獄とわたしは思う。
・ものがたり風である
大体な音楽は、情景描写か、心理描写、もしくは、得意な様式の表現(ラッパならファンファーレのような)
の幾つかの構成要素を複雑に交じえた「音楽のエネルギー」として楽譜に書き込まれている。
かっこよさには、決まり文句のような表現があり、その表現こそ逆に難易度が高いことがある。
誰にとっても耳馴染みがいいから、アラも見えやすい。出口入り口田口である。
「常温」の音楽が1番難しい。

と、大体、出版各社が指定しているグレードが、1-3.5くらいの曲は上記で出来ているので、より一層怖い。

では、何を選ぶべきか?
お好きにどうぞ、というのがもっともよいのだ。


個人的には、音楽に意味のあるものが好きだ。
意味のない音楽があるのか!と怒られそうだが、中身があんまりないなーと思う音楽は多い。
あるいは、意味を楽譜から感じられそうな音楽。フレーズから、イメージが吹き出してくるような音楽。
癒やしや美しさだけではなく、苦悩や、情熱や、狂いや、平和があるようなそんな音楽が好き。言葉じゃなくて、そのフレーズが持っている
と思われるちから。


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下記途中